青春の蒼い花
青い
「蒼衣〜!入学おめでとう!!」
インターホンを押さずに、鍵のかかっている玄関ドアをガチャガチャと言わすのは誰だかすぐにわかっていた。
私は新品の制服を着たままドアの鍵を回した。
そして、私がドアを押す前に、それは開いたのだ。
「やっぱり、たく兄だと思ったー」
「お!それ新しい制服か?
似合ってるな!」
なんでだろう。たく兄はこういう時異常な程に喜んでくれる。
でも、それによって、私もさらに嬉しい気持ちになる。
「ほら、入学祝い!」
たく兄から渡されたのは、少し小さな茶色い紙袋だった。
「何、これ?」
「開けてみ」
私はドキドキしながら、袋を開いた。
すると中には青い細長い箱が入っていて、
それを取り出して、ゆっくりと開いた。
「え…何コレ、めちゃくちゃ可愛い」
「だろ?それ絶対蒼衣が気に入ると思って、だいぶん前からこれだって決めてたんだ」
私は箱からそれを手に取った。
「本当に可愛いコレ、花柄のボールペンなんだね!」
「そうだよ。なんと言っても青い花ってとこが決め手だったんだな。俺これ見た瞬間、蒼衣の顔が浮かんでさ、嬉しくなっちった。」
それは大人っぽく品のあるような印象を与えるものだった。
作りはしっかりしてて、カチッカチッとするだけでちょっぴり高価な感じがした。
ちゃんと箱まで付いているのだから、どこかのブランド物なんだろなと思った。
そして、それだけじゃない。
白いベースに小柄な青い花が咲いていた。
それはなんとも言えないほど美しかった。
「本当にありがとう!大切にするね!」
「おお。大切にしろよ。」
私は部屋へ戻るとたく兄からもらったボールペンをぎゅっと握りして、胸元へやった。
ドクン…ドクン
まだ、この高鳴りは消えない。
やっぱり大好きだ。