青春の蒼い花
俺は次の日、片方のストラップを自分の鞄につけてもう一つは鞄の中大切にしまって学校に持っていった。
それなのにあいつは学校に来なかった。
次の日も
その次の日も。
白石は3日も学校を休み、木曜日になんだかまだ元気なさそうに登校してきた。
元気じゃない白石を扱うのは正直どうすればいいかわからなくなる。
そして俺は鞄の中からストラップをとりだした。
それあげたとき
白石は本当に嬉しそうな顔をしてくれた。
それだけで俺は満足だった。
でもどうしても気になることがある
白石は最近元気じゃないんだ
今回の休みは風邪だと言っていた。
でも今回だけでなく、
ここ最近白石はため息をつくことが多い。
いつもどこかをぼーっと見つめていて
なんだかほっとけない感じだった。
その原因は薄々気づいていた。
あいつがやってきてからだ。
浅井卓巳
だから最近俺は浅井先生を睨みつけるように目で追っていることに自分で気づくことがある。
初めてもつ感情だった
今まで誰かを嫌いになることも
恨んだこともなかった。
そんな俺が初めて
意味もなく敵対心を抱いていることに何よりも驚いた。
だからあいつがキャーキャーと
女子たちに囲まれていい気になっているのが
少しムカついて
だから、俺は王子役を受け入れた。
周りからみたら俺もあんな風だったのだろうか
どこかチャラチャラしていて
女子からもてはやされて、
いい気になっている
そんな男だったに違いない。
浅井先生は俺と少し似ている。
ただ違うといえば、
白石が俺たちにする態度の違いだけだ。
俺はもう一人の自分を見ているようだからあいつが嫌いなんだ
そう思いたかった。
でもどうしても違うのだと気づかされてしまう。
白石が浅井先生を見つめている
その時俺はどうしようもなく胸がくるしくなった。
白石はおそらく浅井先生が好きなのだ。
それがようやく理解できた瞬間
俺は白石のことが好きなんだと気づいた。