あの夏
5月も終わりになる頃
奏叶の部屋にいた時に聞いたよね

「奏叶って、仁と蒼と少しだけ距離あるよね、お母さんもさ〜、何か奏叶大好きっ!って感じするし 。」

そうしたら、苦笑いしながら答えたよね

《本当はね、俺らってか俺と二人は血繋がってねえんだよ。俺の母さんと二人の親父さんが再婚してお互いの連れ子なわけ。二人の親父さんは海外に行くこと多くて、あいつ等自由にやってきたみたいでさ、母さんも手に負えないって感じ。》

「そうなんだ.. 、 お母さんも二人と向き合って上げたらあんなにならなかったかもね。」

その頃二人は家には帰らずに毎日何処かで誰かと喧嘩をしたり、家に帰ってもお母さんと喧嘩をしたりしていた。
仲の良かった私達も少しずつギスギスしだして、奏叶も自分の事ばかりになっていた。

《まぁさ、そうなんだけど俺もどうして良いか分かんねえんだよなぁ。良い兄ちゃんって難しいな 。》

奏叶はずっと悩んでいたそう話してくれた。
私は、遠くなる二人との距離を感じながらも
奏叶と一緒に居れることが楽しくて気にしないふりをしていた。

「奏叶はさ、二人にどうして欲しい?」

《そうだなぁ、取り敢えず普通に学校行って、友達作って楽しい思い出作って欲しいなって思うかな》

「それって、私にも言えるじゃん!(笑)」

《そうだぞ?!お前も〜、学校行きなさい!家に帰りなさい!》

「やだ〜!奏叶と居る!」

《もー、仕方ないなぁ》

困りながらもどこか嬉しそうに頭を撫でて笑ってくれたね。

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