あの夏

家庭

3人の家に泊まるようになったのが10月。

それから、月日が流れて4月になった。

私はあまり帰らない家に、久々に帰った。

「只今 ...」

夜だから父も兄もいるのに返事はなくて、
リビングで楽しく二人はテレビを見ていた。

私が部屋にいるとしばらくして

「稟海、お前はもう好きにしろ。お父さん手に負えない。」

扉の向こうからそう聞こえた 。

私は、ただ父にもっと見て欲しい。
兄だけじゃなくて、私も可愛がって欲しい

ずっと、そう思っていただけなのに。

伝え方を間違えてしまった。

見捨てられた、そう思った私は

「分かったよ!そんなにお兄ちゃんが好きなら産まなきゃよかったじゃん?!勝手にするから!」

それだけ言ってまた家を飛び出た。
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