エリート弁護士は契約妻への激愛を貫きたい
ガレージの自動シャッターが開き、目の前に現れた一台の白い高級車。ヘッドライトの光の眩しさに思わず目を細める。

慣れた手つきでハンドルを切って聖さんの車の横に駐車したその車。そして運転席から出て来たのはーー

「聖兄さん、まだいたんですね?」

「ああ。今帰るところだ」

義弟の悠斗さんだった。

「紗凪さんもいろいろと大変ですね。辛抱強くて敬服しますよ」

「悠斗、紗凪に強く当たるのはやめてもらいたい。紗凪は俺にとって大切な人だ」

「すっかり聖兄さんは紗凪さんの虜のようですね」

クスッと笑い聖さんを真っ直ぐに見つめる悠斗さん。

「ああ。俺は紗凪を愛している。だから紗凪に何かしたら相手がお前だとしても容赦はしない。それから……」

「それから、何ですか?」

「もうひとつだけ言っておく。俺は悠斗の邪魔をする気はないし会社を継ぐ気など更々ない」

聖さんのその言葉に悠斗さんが一瞬だけ、驚いた表情を見せた。

「そんな言葉信じられないですけどね」

「何れ、ちゃんと話そう。じゃあな」

聖さんがそう言って、私を助手席に乗るように促したそのとき。
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