エリート弁護士は契約妻への激愛を貫きたい

本当の黒幕は密かに笑う

サロンを出て、かれこれ五分くらい話していただろうか。今日の創立パーティーに聖さんと参加することになったことを両親にも報告していた。

一般家庭に育った私にとって、こんな大規模で煌びやかなパーティーなんて無縁な訳で、所作だの立ち振る舞いなんてものは兼ね備えていない。

父も母も私がちゃんと務められるのかすごく心配していて、注意とアドバイスを込めてここ最近、こんな風に電話してくるのが続いていた。

「……はぁ。ちゃんと務められるかなぁ」

母との電話を半ば強引に切った後、思わずそんな一言が漏れた。だけど、どんなに不安でもここまできたら自分なりにやるしかない、そう改めて決意をしてサロンの中へ戻ろうと歩き出した。