エリート弁護士は契約妻への激愛を貫きたい
次の瞬間、京極さんと私の視線が絡まった。

「そんなに怖い顔しないでよ、紗凪ちゃん。可愛い顔が台無しだよ?」

そんなことを言いながらスルリと私の間合いに入ってきた京極さんは、スッと私の頰を撫でた。

「俺にとったらゲームなんだよ。落とすまでが楽しいんだ」

「何でそんな……」

「みんな俺らの上辺しか見ていないから。聖に食いついたあの子たちもだけど、凛華ちゃんもそういうとこありそうだと思ってさ」

「……」

「だから散々気のある振りをして俺に落ちたら、おしまいみたいな。それがおもしろいんだよ。第一、恋愛に本気になるとか、運命がどうだとかそんな目に見えない物にしがみつく意味が分からない。そういうのぶっちゃけウザいんだよね」

優しい雰囲気だった京極さんがそう発言したその一瞬だけ何処か冷徹で怖く思えた。

「……運命とか信じたらいけないですかね?」

「んっ?」

「女は何歳になっても心のどこかでそういうの信じたいというか……」

酒が入っていた勢いだろうか。それとも京極さんがあまりに直感型な私とは正反対で全否定されたみたいで悔しかったせいだろうか。気がつけばそんな言葉を口にしていた。
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