エリート弁護士は契約妻への激愛を貫きたい
「永遠の愛だの運命だの、そんな有りもしない愚かな幻想を抱き結婚をして冷酷な現実が見えた途端に揉めて歪みあって離婚をする。離婚原因の一位は性格の不一致、価値観の相違だ。実に滑稽だと思わないか?」

「聖の言う通りだよね」

「……」

東條さんの何とも言えない圧力に言葉を発せられない私の隣で京極さんがコクンコクンとうなずいている。

さっきまで真逆だと思っていた京極さんと東條さん。だけど、彼らと真逆だったのは私だけだったんだ。

「俺からしたら目には見えない永遠の愛だのそんなものを信じる輩がいることが信じられない。人の気持ちなど変わりゆくもので縛りつけてなどおける訳がないんだよ」

そう言って東條さんが私から目を離した次の瞬間だった。

「紗凪ちゃん、ひとまず聖にそうですねって相槌しといて。じゃないとこの演説が延々と続くから」

京極さんがそう耳打ちをしてきた事に私の視線は京極さんへと動いて、そこには苦笑いを浮かべて、ごめん、と手を合わせる京極さんの姿がある。
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