エリート弁護士は契約妻への激愛を貫きたい
東條さんとのまさかの再会に初めは動揺したが、多忙な業務に追われて東條さんの事を考える余裕がなくなっていった。

東條さんも外回りの仕事が多くて殆ど事務所にいる事がなくて、心配していたよりも私にダメージはなかったりする。

それならば仕事だと割り切ってこのまま当たり障りのない関係でいればいいのだと自分に言い聞かせて仕事に邁進していた。

そんなある日の事。

「今日も一日、色々バタバタだったなぁ」

一週間のちょうど中日の水曜日は定時退社日となっており、いつもより早めに帰宅の途に着いた。

早めに夕飯を済ませてお風呂に入り、取りためていたドラマの続きを観ようとリモコンを片手にベッドにダイブしてそれから1時間あまり。

お気に入りのドラマを食い入るように観ていたそのとき。

プルルルルーー

突如、部屋に鳴り響いた携帯の着信音に私の意識はそちらへと動いた。携帯のディスプレイに目をやれば表示された文字は父親の名前。私に何か用事がある時はいつも母親が電話かラインをくれるのが我が家の常だが……

「もしもし?」

少し身構えながら電話に出た。
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