エリート弁護士は契約妻への激愛を貫きたい
そんな会話をしながら実家に到着した。

「ただいま」

ガチャッと玄関のドアを開ければ、懐かしい我が家特有の匂いがして、胸がきゅっとなった次の瞬間。

「おかえり」

酒蔵に行っていたはずの父がリビングで出迎えた事に私は少しキョトンとした。

「ただいま。酒蔵に行ってるってお母さんから聞いてたからびっくりしちゃった」

私はそう言いながらソファー横にある洋服掛けに羽織っていたカーディガンを掛けた。

「母さんから紗凪が着いたと連絡をもらったから抜けて来たんだ。まぁ、座りなさい」

「あ、うん」

父にダイニングテーブルの方へと促され私は足を進めていく。私が椅子に腰を下ろした所で母が紅茶と私が昔から好きなケーキ屋さんのモンブランを運んで来た。

私は一口、二口頬張りながら父が話し出すのをどこか緊張しながら待っていたりする。
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