エリート弁護士は契約妻への激愛を貫きたい
数年前には賞を受賞してお酒の受注が増えたと言っていたから、てっきり経営はうまく言っているものだと信じて疑わなかった。

「家の状況は分かったけれど、それが今回の見合い話とどう繋がる訳?」

明らかにトーンダウンした私の声。

「うちのお酒を気に入ってくれたお客さんがいてその方が会社を経営していて融資を申し出てくれたんだよ。その融資を受ける条件がその方の息子さんとの結婚なんだ」

「それって政略結婚……って事?」

「まぁ、そう言う事になる訳だが、お相手はお前にはもったいないくらいの頭脳明晰で容姿端麗な立派な方だぞ?」

「ひとまずお見合い写真見てみたら? きっと気が変わると思うわ。本当に素敵な方よ」

動揺を隠しきれない私に向かって両親はなんとか説得しようと私を諭してくる。家が大変な状況なのは分かった。だけど、私は、

「そんな愛のない結婚なんて絶対に嫌!」


久々に帰ってくれば強制的な見合い話なんてそんなの絶対に絶対に認めな…

「紗凪が引き受けてくれないならば妹の優奈(ゆうな)に代わりに見合いを受けてもらおうと思っている」
「え?」

私を真っ直ぐに見つめる父の目は真剣で、私がこの見合い話を断ればすぐにでも妹に声を掛けるであろう事は予測できた。
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