エリート弁護士は契約妻への激愛を貫きたい
「妹さんのために東條さんが私と契約結婚するということですか?」
「意外とでも言いたそうな顔だな」
「まぁ、そう思いましたけど」
理論的で人には無関心な冷徹人間だと思っていた東條さんが見せた家族への優しさ。正直、意外だった。
それでも合コンのあの日、ナンパ男から私を救ってくれて文句を言いながらもタクシー乗り場まで連れて行ってくれた東條さんを思い出してみると彼の妹さんへの行動は納得がいく気がする。
「妹は音大に通っていて、オーストリアの音楽院への留学が決まっている。向こうに行って生活の基盤が整うことを考えたら一年の猶予は欲しい」
「それまで契約結婚を続けたいという事ですか?」
「ああ。親元を離れ向こうに行ってしまえばそう簡単には連れ戻せないだろう。父さんの身勝手な命令で妹の夢を壊させたくはない。それが俺が見合い話を引き受けた一番の理由だ」
そう言って私を真っ直ぐに見つめる東條さんは真剣で覚悟を持ってこの場に来たのだろうと思った。妹を守りたいという気持ちは私にだって痛いくらいに分かる。
「結婚の理由は意外でしたけど妹さんを守りたい気持ちは私にも理解出来ます。実は私も父に私がこのお見合い話を断ったら代わりに妹にお見合いをさせると言われたんです」
「そうだったのか」
「はい。私の妹にも夢があって懸命に努力してる姿をずっと見てきたから。だから私も妹を絶対に守りたいと思って、今日ここにいます」
「お互い長子は色々と大変だな」
そうぽつりと呟いた東條さんは切なげな顔をしていた。東條さんと出会って初めて共有出来たその感情。それが頑なだった私を動かすきっかけだったのかもしれない。
「意外とでも言いたそうな顔だな」
「まぁ、そう思いましたけど」
理論的で人には無関心な冷徹人間だと思っていた東條さんが見せた家族への優しさ。正直、意外だった。
それでも合コンのあの日、ナンパ男から私を救ってくれて文句を言いながらもタクシー乗り場まで連れて行ってくれた東條さんを思い出してみると彼の妹さんへの行動は納得がいく気がする。
「妹は音大に通っていて、オーストリアの音楽院への留学が決まっている。向こうに行って生活の基盤が整うことを考えたら一年の猶予は欲しい」
「それまで契約結婚を続けたいという事ですか?」
「ああ。親元を離れ向こうに行ってしまえばそう簡単には連れ戻せないだろう。父さんの身勝手な命令で妹の夢を壊させたくはない。それが俺が見合い話を引き受けた一番の理由だ」
そう言って私を真っ直ぐに見つめる東條さんは真剣で覚悟を持ってこの場に来たのだろうと思った。妹を守りたいという気持ちは私にだって痛いくらいに分かる。
「結婚の理由は意外でしたけど妹さんを守りたい気持ちは私にも理解出来ます。実は私も父に私がこのお見合い話を断ったら代わりに妹にお見合いをさせると言われたんです」
「そうだったのか」
「はい。私の妹にも夢があって懸命に努力してる姿をずっと見てきたから。だから私も妹を絶対に守りたいと思って、今日ここにいます」
「お互い長子は色々と大変だな」
そうぽつりと呟いた東條さんは切なげな顔をしていた。東條さんと出会って初めて共有出来たその感情。それが頑なだった私を動かすきっかけだったのかもしれない。