エリート弁護士は契約妻への激愛を貫きたい
迎えた翌日。

私が東條さんのマンションに越してきて初めて迎えたその日、カーテンを開ければ真っ青な空が広がっていた。

婚姻届を出すという生まれて初めての経験。例えそれが偽りだとしてもどこか心がそわそわして落ち着かない。

「おはようございます……」

「おはよう。大したもんじゃないが朝食を用意したから冷めないうちに食べるといい」

上下黒スウェット姿の東條さんが優しい笑顔で迎えてくれた。

「なんだか気を遣わせてしまってすみません。明日からは私が……あまり料理は得意ではないので味の保証はできないですけど」

「無理はしなくていい。できる方がやればいい。さぁ、食べようか?そこに座ってくれ」

「あ、はい……」

私の目の前の席に腰を下ろした東條さんと「いただきます」と声を合わせて東條さんが用意してくれた朝食を食べ始めた。

トーストに色鮮やかなトマトサラダ、バターの香るふんわりとしたオムレツにかぼちゃのポタージュ。どれを見ても美味しそうで盛り付けもとてもセンスがある。

「オムレツ、すごくふわふわしてて美味しいです。ホテルの朝食みたい」

「口に合ったなら良かったが」

東條さんは仕事ができるだけじゃなくて、料理もできる人なんだと感心してしまう。

一緒にこうやって食事をするその光景とスーツ姿ではないラフな姿の東條さんを見て改めて同居生活が始まったのだと実感する。
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