エリート弁護士は契約妻への激愛を貫きたい
「ここのはずだったけど」

幾ばくかの緊張を伴いながら、個室の部屋のドアを開けようとしたそのとき。

ガチャッーー

ドアが勢いよく開き、そして目の前に飛び込んで来たのは、

「わっ、びっくりした! 紗凪お疲れ」

頰を桜色に染めながらどこか上機嫌で私をギュッと抱きしめた凛華と、凛華の会社の後輩の可愛らしい女子ふたりだった。

「トイレ行こうとしたら、まさかの紗凪ちゃんお出ましとは」

「遅くなってごめんね」

「まず入って!」

凛華がグイッと私の腕を引き、部屋の中へと戸惑う私を押し込んだ。

「ち、ちょっと、凛華トイ…」

トイレ行かなくていいの? なんていう私の言葉は、

「どうも、紗凪ちゃん。先に始めてました〜」

ニコリと微笑んでそう言った黒髪黒ぶちメガネのインテリ系イケメンの言葉に掻き消された。
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