エリート弁護士は契約妻への激愛を貫きたい
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「晴れて夫婦になられた訳ですね。聖坊ちゃん、紗凪様、誠におめでとうございます。旦那様と弥生様もさぞかし喜ばれている事でしょうね」

区役所で婚姻届を提出し車内に戻ってきた聖さんと私に向かって影山さんがそう言ってニコリと微笑んだ。

正直、婚姻を結ぶ行為がこんなにもあっけなく紙切れ一枚を提出して終わる現実に聖さんと結婚したという実感が沸いてこない。

そもそも恋愛感情無しの契約結婚なのだから感動や幸福といった感情が湧き上がらないのかもしれないけれども。

「聖坊ちゃん、晴れて夫婦になられた今のお気持ちはいかがですか?」

そんな影山さんの質問に聖さんは何と答えるのか気になり、チラチラと隣に座る聖さんに視線を送る。

「まだそんなに実感はないが、これからどんなときも紗凪を支え、紗凪の一番の理解者でありたいと思っている」

そう言って私の方に優しいまなざしを送る聖さんに思わずドキッとしてしまった。これはただのパフォーマンスに過ぎないのに何故か動揺してしまう。
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