エリート弁護士は契約妻への激愛を貫きたい
「ようこそ、fleur du ciel(フルール・デュ・シエール)へ。東條様、お待ちしておりました。本日、担当させて頂きますコンシェルジュの遠野(とおの)と申します。宜しくお願い致します」

日本語で「天空の花」を意味するそのラグジュアリーなホテルのロビーに足を踏み入れると即座にコンシェルジュの男性がこちらへと歩み寄ってきてそう声を掛け挨拶をしてきた。

「お久しぶりです、遠野さん。今日は父が無理を言って申し訳なかったです。どうぞ宜しくお願いします」

「いえいえ。東條様にはいつもご贔屓にして頂き大変感謝しております。何なりと私にお申し付け下さいませ」

このホテルは「パラス」の称号を与えられている数少ないパリのラグジュアリーホテルを手本として建てられた日本屈指の高級ホテルで東條家はここの上客らしいから驚きだ。

優美さを感じさせるアール・デコ様式の建物、眩いほどに光り輝くシャンデリア、そしてホテルの名に因んでホテル内の至るところに華麗なフラワーアレンジメントが施されており、ホテル全体が甘く爽やかな花の香りに包まれている。

館内は絵になるような素敵な場所が多い。ここは女子の憧れのホテルでもありここで結婚式を挙げたい、ハネムーンに訪れたいと願う女子は多い。
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