エリート弁護士は契約妻への激愛を貫きたい
「依頼していただいていた公正証書ですけども親権、養育費、慰謝料、財産分与など前回、お話いただいたようにまとめましたのでご確認お願いします」

「あ、はい。ありがとうございます」

東條先生から手渡されたそれを朝倉さんが受け取り中身の確認をしようとページをめくり出した。

「あの……離婚の話は彼と折り合いがついているんですが、子供の戸籍のことで聞きたいことがありまして」

「あ、はい。何でしょうか?」

お茶出しをしていた私にそんなふたりのやり取りが聞こえてきた。

「役所に行って離婚届をもらってきた際に子供の戸籍は私が親権者なのに私と一緒には移せないと聞いたんですが、それは暫く子供だけは夫の籍に残る形になるということなんですか? その間に何か不都合があったりしないか心配なのですが」

「残念ながら今の法律では離婚によって親権者、養育者が母親になる場合でも子供さんの戸籍は旦那さんの戸籍に残る形になり、それを母親の戸籍に移すには一定の手続きを踏まなければいけないんです」

「……そうなんですね」

「朝倉さんの場合、元の戸籍に戻すには復籍、または朝倉さん自身が筆頭者となって新しい戸籍を作るか選択できるのですが」

紙に書きながら東聖さんが丁寧に説明を始めた。それを朝倉さんは、相づちを打ちながら聞いている。
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