愛する妻を口説く方法
最後に連れていったのは、岡の上にある展望公園。
高校から少し登ったところにあるこの公園は、高校時代よく2人で来ていた。卒業してからは、足が遠のいていたけれど。
公園にある、街が一望できる場所にむかう。
「ここ……」
彼女の反応に、覚えていたのだと気づく。
「俺たちが付き合い始めた場所。」
2人で景色を眺めながら彼女に尋ねる。
「俺、なんて告白したか覚えてるか?」
「えー。覚えてない。」
「そか。そうだよな…」
そうだよな。もう15年も昔の話。
あの日の俺は、彼女に思いを伝えるのに必死で、
景色なんて見てなかった。
彼女と並んで、こんなに穏やかな気持ちで景色を眺める日がくるなんて……
「そろそろ行こうか。」
「うん。」
自然と手を繋いで歩き始める。