愛する妻を口説く方法
ディナーはフレンチのコース料理。
ワインを飲みながら2人で向かい合ってゆっくりご飯を食べる。
「今日はありがとう。とっても楽しかった。」
美海が微笑う。
「こちらこそ。」
俺も楽しかったよ。
美海が戸惑ったような顔をしたあと、意を決したように尋ねてきた。
「ねぇ。この前会社の近くのカフェで見かけたんだけど。あのときなにを話してたの?」
「ん?」
なんのことだ?美海の会社??
「女の人に微笑んでた。」
「あぁ。」
あのときの。
「美海、いたんなら声かけてくれたらよかったのに。」
美海に会いたくてあの店を選んだんだから。
……でも、会話は聞かれてなくてよかったかな?
「いい雰囲気だったから、邪魔しちゃ悪いかと思って。」
え?!なにそれ。
「やきもち?」
「違うっ!!気になっただけ。」
だめだ。嬉しすぎる。顔がにやけて笑いが止まらない。
美海がやきもちなんて今さら妬かないと思ってた。
「美海の話をしてたんだよ。」
「私の話?」
「デートの計画は順調ですか?ってからかわれてた。」
美海が心底ほっとした表情をする。
そんなに心配しなくても、俺は美海しか見てないのに。
「今日のデートはお気に召したでしょうか?」
恥ずかしいのを隠して、おどけたようにきく。
「えぇ。とても。」
少し頬を染めて、美海があまりにきれいに笑うから。
俺はまた、美海に見惚れてしまうんだ。