愛する妻を口説く方法
おまけss。原田side
彼が、美海さんの旦那さんか。
勘のよさそうな人だから、気付いたかもしれない。
俺が昔、美海さんを慕っていたことに。
新入社員として配属されたのが、美海さんのいる部署だった。
誰に対しても明るく、優しい彼女に俺はいつしか惹かれていた。
でも、既に彼女は彼のもので。
俺の想いは告げることなく幕を閉じた。
そのあと、付き合ったのが今の彼女。
俺の同期。
彼女は唯一、俺が美海さんを慕っていたことを知っている。
「さっき、美海さんに会ったよ。」
「ほんと?後で会いに行こうかな。」
「ダメ。デートだって。」
「それは、邪魔できないね。」
彼女が微笑う。
今はもう、美海さんへの気持ちはない。
今はただ、目の前の君だけを
愛してる