愛する妻を口説く方法
休日出勤から帰ってくると、
いつもは出迎えてくれる、美海とさなが出てこなかった。
玄関には見慣れない靴。
そういえば、職場の先輩が遊びに来るって言ってたな。
帰ってきたことだけ伝えようとリビングへ向かう。
漏れてきて声にぴくりと足を止めた。
「もうね、旦那を男としては見れないのよね……空気みたいな感じ?いないと困るんだけど、存在としてはあって当たり前みたいな……」
「あー。わかります!!旦那に対するときめきって、ないですよね。」
「え?!美海ちゃんなんて、結婚してまだ5年くらいでしょ?」
「結婚はそうですけど……付き合ってからだと15年になります。」
「15年かぁ。うちより長いわ。」
その後も2人は盛り上がっていた。
気付かれないように、そっと自室に入る。
『旦那に対するときめきって、ないですよね』
俺はずっと美海のことを妻として、一人の女性として見てたのに。
美海はそうじゃなかったんだ……