愛する妻を口説く方法
田中と行くのは定番の居酒屋。
なんとなくメニューは、覚えているので適当に注文する。

「「おつかれー。」」
ジョッキを合わせ、一気に飲んだ。
やっぱり仕事終わりのビールは美味しい。

「で、美海ちゃんと何があった?」
田中が心配そうにきいてくる。

いきなりかよ。
なんというか。言葉を選ぶ。
「美海が俺のこと男として見れないってさ。」
「え?浮気されたとか?!」
「イヤ。それはない。」
全力で、否定する。

この前、聞いてしまったことをかいつまんで説明する。
田中がけらけら笑いだした。

「朝からお前、すげーひどい顔してたから、深刻な話かと思ってたよ。」
なんだそれ。
俺にとっては結構重要なんだけれど。
「お前に、そんなこと言えるの美海ちゃんくらいだよな。」
笑い続けながらそんなことを言う。
「どういう意味だ。」
「だって、お前すげーモテるじゃん。」
「そうか?」
特にモテた覚えもないけれど。
「まぁ、それだけ身近にいるってことだろ。夫婦なんてそんなもんじゃないか?」
「お前もそんな感じなの?」
田中は結婚して3年。1才の男の子がいる。
「まぁな、むこうも子育てに必死だし、
お互い夫婦っていうより''息子の親''って感じだな。」

たしかに、さなの親ではあるけれど。
俺にはやっぱり美海は魅力的な女性に見える。
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