愛する妻を口説く方法
「ヤるのはやってんの?」
唐突に聞かれ、吹き出しそうになる。
「なんだよ、突然。」
「いや、男としてっていうなら、そこ重要だろ。」
「…………週2」
ぶほっ
今度は彼が吹き出す。
咳き込みながら、こっちを見てくる。
特に変なことは言ってない。
「なに?」
「レスかと思ったら、結構やってんね。」
美海がいて、やらないなんて考えられない。
疲れたとかで、たまに断られることもあるけれど。
「んじゃ、あれだな。」
「なに?」
「マンネリだ。」
え………
「あ。ヤるヤらないに関わらず、だぞ。」
どういうことだ?
「お前、デートとかしてるか?」
「いや。家族ではよく出かけてるけど。」
「女って、シチュエーションとか気にするし、そういうとこなんじゃねぇの?」
言われてみれば……
さなが産まれてから2人ででかけたことは1度もない。
行き先も、さなが喜びそうな公園や遊園地、動物園など。
「お前が、美海ちゃん溺愛してるのは、知ってるけどさ。ずっと女として見れるってことは、美海ちゃん自身も、そう見てもらえるよう努力してるってことだろ。」
痛いところをつく。
確かに俺は、男として見られる努力なんかしてなかった。
家族だから、肩肘張らずにいられるのがいいのだけれど……
それでも、さなが生まれる前はもっと、美海の喜びそうなことを考えていた。デートだったり、プレゼントだったり。
「とにかく1度、誘ってみろよ。」
「あぁ、そうする。ありがとな。」
そこからは、仕事の話や子供の話をした。
話をきいて、やっぱり息子もほしいなぁと思う。
さなも4才。そろそろ2人めを作ってもいいのではないだろうか。