ユリの花はあまり好きじゃない
 桐生さんとこのホテルを訪れたのは3度目だった。

 何でこんなことになってしまったのか、自分でもよくわからない。
 けれど、私が嘘をついたことが一つのきっかけだった。

 彼氏いるの? と桐生さんに問われた私は「いません」と答えた。

 もう5年近く同棲している相手がいるのに、よくそんな嘘をつけたなと自分に呆れてしまう。
 何となくの流れで、何となく食事をして、何となくこういう関係に発展した。

 シンちゃんともそうだったけれど、何かが始まるときは何となくそうなることが多くて、何となくの流れで一緒にいる。

 でも終わるときは……どうすればいいんだろう。

 この時の私は終わらせ方を知らなかった。

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