ユリの花はあまり好きじゃない
「アクセサリーの打ち合わせってこんなに時間かかるの? もう0時過ぎてんじゃん」

「時間かかるよ。それに打ち合わせだけじゃなくて、世間話だってあるし。お得意様なんだから、打ち合わせだけして“じゃあ”って帰るわけにはいかなでしょ」

「でもこんな時間だよ? 普通の会社ならあり得ないよ」

「普通の会社って。普通の会社に勤めたことがないのによく言えるよね。私に文句があるなら同じ金額を稼いでからにしてよ」

 言った瞬間、私はなんて嫌な言い方をするんだと自分に驚いた。
 意図的に針を含ませた厭味。案の定、シンちゃんの顔に陰りが広がった。

「……ごめん。仕事に口出さない約束だったね」
< 27 / 43 >

この作品をシェア

pagetop