ユリの花はあまり好きじゃない
 ノートに簡単なレシピや洗濯の仕方、浄水器のカートリッジの換え方をメモし、最後に貯金通帳の暗証番号を書き加えた。

 3ヵ月くらいは生活できるだけの額を残しておいた。

 その夜は、一緒にお風呂に入り、風呂上りに録画していたドラマを観て、ベッドの中で、シンちゃんをいつものように腕枕した。

「もう少し暖かくなったらユニバに行こうよ」

 CMで流れている最新のアトラクションに興味があるらしい。

「あれ、すげえ面白いみたいだよ」「そうなんだ」「なんかさ、本当に魔法の世界にいるみたいなんだって」「へえ」「ディズニーランドのがいい?」「どっちでもいいよ」「じゃユニバで」

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