綺麗なブルーを描けません

滲む夢

   ×

何日かして、柊くんは自由になったらしい。

あの時彼女のポケットに入れたのは、自分の署名していた離婚届で。

あたしは、深ーく、ため息をつく。

そして、今、柊くんは、あたらしい職場で出会った若い可愛い後輩に、とっても優しい目を向けている。

うん。

知ってた。

こういうヒトだって。

だいたいモテるから、周りは放っておかない。

多分、放っておけるのはあたしくらいのもんなんじゃないかと思う。

だってね。

思い出したくもないあの、お兄さんは超の付く美形だったけど、凄く薄っぺらさを感じた。

顔が綺麗なだけなんだよな。

柊くんのほうは、その中にいっぱいの魅力が詰まってて、一緒に見ると、どうしたって、柊くんの方がかっこよく見える。

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