綺麗なブルーを描けません
静かな表情の、柚葉さん。

「ほんとはね、帰したくない。…あの時の、額から血を流した柊と、エマの姿が頭から消えなくて」

変な角度で手が痛くて、柚葉さんのほうへ向き直る。

「もしかして、それで心配になって、早くこっちに来てくれたんですか?」

「放っておくと、何をしでかすんだろう。何に巻き込まれるんだろうって。…気が気じゃなくなる。あんたたち、セットで、怖いんだよ」

あたしは、まだ、連れてかれたままの手を、解く。

「セットで、なんだ。いつの間に、そんなに仲良くなったの?柊くんと。妬けちゃうなあ。…あたしの友達なのに」

「そうか。…悪い」
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