綺麗なブルーを描けません
「付き合ってもらえないけどね」

声が降ってくる。

「...それは…彼女とかって響きが、何だか物凄く嫌いなだけです」

笑う声と、感覚が伝わってくる。

「知ってる」

引き剥がされる。

顔を上げると、柚葉さんがこちら向きにいる。

「だから別に、このままでいいんだって。エマの心が高校生のまま止まってるのはオレのせいなんだと思うし」

「こっ、高校生って」

「あ、オレ、あきらめが早いのは本当なんだ。…でも、さっきのは冗談だから。悪いなとは思ったけど、一回くらい確認しときたかったから」

「…」

「だって、異動してここまで来て、やっぱり、要りませんとか言われたら、オレ、立つ瀬ないし」

「要りませんなんて、ありえません」

柚葉さんが笑う。

「そうか、それは良かった」
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