綺麗なブルーを描けません
「言えなくはないけど、恥ずかしいから、言わない」

「いいけどね…」

言って、あたしの手にもてあそばれていたブレスレットを、さらっていく。

それから、思い直したように、

「…やっぱりいいや。何か…今まで大事にしてたもの、取り上げたくない」

ブレスレットを、手を開いて、手の平に落としてくれる。

「ずっと大事に持ってた方が、いいと思う」

ニッコリ。

見とれる、優しい微笑み。

けど、それって、内容が若干不吉なんだよな。

あたしはちょっと苦笑う。

でも、そんなこと気にする必要はないんだよ、きっと。

柚葉さんが、ここにいて、自分のそばに居て、この状況を、頭がうまく処理できてないだけなんだ。

でも、凄く、幸せな感覚にふんわり包まれていて、

なんか、信じられない。

いいのかな。

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