綺麗なブルーを描けません
歩いているだけで、凄く楽しい時間。

だけど、その幸せな時間は、きっとあたしを叩きのめすために、束の間与えられただけのものだったんだ。家まで帰りついて、顔を上げた。

あたしの部屋の方にスーツ姿の男のヒトがいるのが見えたから。

その向こう側に柊くん。

柊くんは男の人と、何かを話していて、ふと顔を上げてあたしを見つける。

「…あ、帰ってきましたよ」

柊くんが言って、その、誰かが振り返る。

あ…

兄だ。

あたしの。


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