綺麗なブルーを描けません
兄は、一瞬、柚葉さんに目を向けると、

「どういうつもり?」

あたしに訊いた。

ええと。

…何がですか?

心当たりがありすぎて、何を責められてるのか分からない。

「…家族に何の報告もせずに、勝手に引っ越したことだよ。でも、それはオレのせいでもあるから、説明はした」

柊くんが言う。

「何で、何にも言わずにいなくなるんだよ」

これは兄。

あたしは、黙ってしまう。

「まあ。仕事だったんだし。モメたくないのもわかるけど」

柊くんが、あたしの反応と、兄の様子を観察してるのがわかる。

そうなんだよ。
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