綺麗なブルーを描けません
ややこしい家族の話はしてる。

この、兄をかわいがるくせに、あたしには何の興味も示さない母…

でも、だからって、あたしが兄を嫌ってるわけではない。

それは、柊くんも知らないと思う。

だから、不安そうに、見られてる。

「…元気そうだから、良かった。…オレはそれさえ確認出来たら構わない。…と思ってたんだけど、誰?」

柚葉さんに兄は目を向ける。

「何て自己紹介したらいいんだろう」

柚葉さんは呟いて、兄にニッコリ微笑みかける。

「楓さんの…婚約者なんです。…多分」

兄は、ちょっと、沈黙して、笑った。

「そうかあ。…まあいいや。オレ、数日出張でこっちにいるから、また来るわ。じゃあ」

言って、普通に去ってく。

しばらく兄の後ろ姿を見送って、それから、

隣から、深—いため息が聞こえて。

柚葉さんがへたり込む。

「…怖かった。また、柊兄みたいなのが登場したのかと思った」

「…オレも…」

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