綺麗なブルーを描けません

「…柚葉さんを、ドロドロした世界に引き込みたくなかったんだ。…ってそれじゃあキレイごとかな。そういうどろ
どろの世界にいるあたしを、見られたくなかった」

「…そんこと、気にしないよ、あのヒト。ヒトのドロドロさなんて、見えないからね。体感した人しか、想像するのも難しいと思うよ」

あたしは柊くんを黙って見上げる。

「オレは、分かるんだけどね。柚葉さんには、分からないと思うよ。あの人は真っすぐだから」

そうだな。

真っすぐだ。

時々、まぶしいくらい、それを感じる。

「柚葉さん、婚約者だって言ってたじゃん。あれ、本音でしょう？そんなヒトが、そういう細かいことを、今更気に
するとは思えないよ」

「…婚約者」

そうだった、そんな風に言ってくれてた。