綺麗なブルーを描けません
「先にいろいろ考えすぎたら、身動き取れなくなるよ。頭の中では、自分が考えないとコトは進まないけど、現実は違うからね。江間さんが何にも考えなくたって、周りは勝手に動いて行くんだ。嫌なことは、起こってから、誰かに丸投げしてしまえばいい。オレとか、柚葉さんとかに」

「…」

「だいたいさ、柚葉さんに嫌われるかもしれないし、江間さんだって、飽きちゃうかもしれないじゃん。…それなのに、嫌なことだけ先回りして考えすぎなんだよ。だから…ね?早く柚葉さんに謝りなね。パニックになった理由も説明して…」

そうだった。

何か、兄のせいでかけられた呪法が、溶けていく。

心の外側に、ぐるぐるに巻かれていた鎖が、霧になって消去されて行く。

やっと、久しぶりに呼吸ができた気がする。

あたしは、深呼吸する。
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