綺麗なブルーを描けません
赤の使者
☆
ああ、疲れた。
珍しく、疲労感を引きずって、家に帰ると、自分の部屋の前に、スーツ姿の兄がいた。
…一瞬、そう思ってしまった。
でも、全然違う。
気が付くのが遅かったせいで、血の気が引いた。
逃げられないかもしれない。
くるっと踵をかえして、今来た道をダッシュで戻る。
お願い、気付かれていませんように。
だけど、それは、はかない願いでしかなくて、
冷たくて、力のこもった手に、肩を掴まれる。
予期していたことなのに、ビクッと反応してしまう。
「…何で逃げるのかな?楓さん」
力づくで振り向かされる。
柊兄の整った冷たい顔がそこにある。
ああ、疲れた。
珍しく、疲労感を引きずって、家に帰ると、自分の部屋の前に、スーツ姿の兄がいた。
…一瞬、そう思ってしまった。
でも、全然違う。
気が付くのが遅かったせいで、血の気が引いた。
逃げられないかもしれない。
くるっと踵をかえして、今来た道をダッシュで戻る。
お願い、気付かれていませんように。
だけど、それは、はかない願いでしかなくて、
冷たくて、力のこもった手に、肩を掴まれる。
予期していたことなのに、ビクッと反応してしまう。
「…何で逃げるのかな?楓さん」
力づくで振り向かされる。
柊兄の整った冷たい顔がそこにある。