綺麗なブルーを描けません
「…玉砕した」

あたしの脳みそは、一瞬真っ白になった。

表情のない、柚葉さんのせいで、余計に言葉の意味があたしの頭の中から逃げていく。

「え、えと…何ですって?」

柚葉さんは、口元を自嘲に歪めて、

「…ダメだった。彼女、もうちょっと自由でいたいんだって」

はあ?

「そうだよな。考えたら、彼女はまだ25で」

「あたしより年下じゃないですか」

びっくりだわ。

「…そうか、エマ、いくつだっけ」

「28です」

「28でもまだ、結婚願望ないもんな。そりゃ。25じゃ無理なのかも」

「…結婚願望がないとかいうレベルじゃないですけどね、あたしの場合」

「だって、柊がいるじゃん…って、そっか、結婚してたんだ。何かいまいち君らの仲の良さが分からない。不倫してる?」

「してません。柊くんは唯一の大事な友達なんです。変なこと言わないでください」

柚葉さんに笑われる。

「オレも友達だと思ってたのに、勘違いだったんだな。柊だけだったんだ、友達…」

悲しそうなフリの表情をされる。

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