綺麗なブルーを描けません
「そうです。その人、昨日プロポーズしてたんです。

おまけに、あたしにわざわざ予告して」

柚葉さんは、コーヒーカップを手に持ったまま固まった。

「ひどいでしょう?

何の罰かと思っちゃった。

何が悲しくて、希望に満ちた目で嬉しそうに、

あたしと何の関係もない楽しい未来しか見てない人の話を聞かなきゃいけないんだろうって思った」

柚葉さんは、しばらく固まった後、そっとカップをお皿に戻した。

「何か…今日の、柚葉さん、良いです。今までで、一番好きな感じです...何でかな。何か落ち着いてるからかな。
わーって喋ってくれるとこ、好きなんですけど、実は、今日の物静かな雰囲気、とってもどツボで、すごくドキドキしてます」

柚葉さんは、黙ったまま、ゆっくりとこっちへ向いて、黙ってる。

「大丈夫ですか?柚葉さん」

「...いや。大丈夫じゃない。物凄く、動揺してる」

「あ、改めて振るのとか、なしですよ。そんな思いをしなくていいってことがわかってるから、姑息に喋ったんだから。...ここで、初めて合ったときから、ずっと好きだったんです。...昨日で終っちゃったけど」

「終わったんだ」

「そうです」

「でも、今ドキドキしてるって」

「..それは仕方ないです。気にしないで下さい」

「気にしたら、ダメなんだ」

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