綺麗なブルーを描けません
柊くんの左手薬指には、指輪がはまっている。

「…いつだったっけ、柊君が結婚したのって」

そうなのだ、彼は既婚者だ。

「2年前かな」

答えてくれる。

そうか、2年前なんだ。

確か、10コくらい年上の奥さんじゃなかったっけ。年上だからか、あたしが飲みに誘っても、全然許してくれちゃう寛大さ。

「...そうか、みんな幸せなんだ。...いいね」

何か、今、二個目の失恋をしたような感覚に襲われる。

柊くんは、働きだした時に同僚として出会ってるから、6年くらいの付き合いだろうか。

ずっと好青年で、はじめっから、仲良しで。

...普通、こっちに惚れちゃうよな。

でも、もっと前に出会ってた、柚葉さんは、なんか、物凄く、大人でカッコよくて。

本当に他の人は目に入らなかった。

そおして、今に至っちゃう。

「柚葉さんはかっこいいよね。なかなか捕まらないなーって思ったら、いつの間にか新しいこと始めてて、忙しそうで楽しそうで。飲む場面に一緒に出掛けたとしても、友達や知り合いが多すぎて、あちこちに顔を出しているうちに、一緒に行ったヒトのこと、忘れそうで...」

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