綺麗なブルーを描けません
「…信じられないことするね。何が不満だったの…」

「…何だろう。…上手く説明出来ない」

「何か、分かるような気はするけどね。

ずっと純粋な気持ちで好きだったのに、柚葉さんに関わっちゃうと、

瞬間で、闇部分に連れ去られそうな気がするもんな」

あたしは、笑ってしまった。

当たってるのかも。

「…何で、説明しなくていい人に惚れちゃわないんだろうな」

「…オレにってこと?まあ、楽するなってことなんじゃない?」

あたしは、ため息をつく。

「…あ。…友達だから、報告しとかなきゃ。

オレ、別居しようと思ってて。…だから、今回のこれはすごく有難いんだよね…」 
 
そうなのか。

じゃあ、柊くんにとってはこの異動はワタリニフネってヤツなんだな。

ぴったりの言葉があるもんだな。

「奥さんも付いていきたいって言ったら?」

「断る」

「…そうなんだ。いろいろ訊きたいけど、止めとくね。

…多分、いろいろ考えてのことなんだろうし」

「うん…でも、」

長ソファの隣にすわっていた柊くんが、ちょっと身を寄せて、

「今、実は…すごくしんどい」

こっそり教えてくれる。

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