綺麗なブルーを描けません
穏やかに、単身赴任させてもらえた訳じゃないんじゃないかな。

しんどいなら、溜め込まずに、愚痴を小出しにしてくれたらいいのに。

…それどころか、あれ以来、全く口を閉ざしてしまった。

「近所がいい?遠くまで行ってみる?」

「近所ー。お気に入りのとこ、作っときたい」

「じゃ、探そう。安くて美味しい‼ってとこがいいな」

「うん、うん。じゃ、ちょっと待って」

あたしは、手近に掛けてあるコートを羽織って、鞄をとりあげる。

「え?もう出掛けられるの?」

「…ダメ?」

「…いや…ありがたい」

笑ってる。

「これから延々待たないといけないかと思った」

「…寝起きとかじゃないんだから、すぐ出られるよ」

「そうか、そうなんだ」

「…何か、嫌だな、あたし、ダメな人みたい」

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