綺麗なブルーを描けません
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お気に入りの居酒屋さんも見つかって、しょっちゅうそこに通ってた頃、

「ごめん、先行ってて」

会社帰り。一緒に帰りかけてた柊くんに突然言われた。

一緒に行けばいいじゃん。

用事あるんなら、終わるまで待ってるのに。

思いながら、素直に一人で行くことにする。

待ってたりしたら、周りに何を言われるか分からない。

今や、柊くんが結婚してることも、単身赴任中だって名目の別居中だってことも、バレている。

何だか、あたしが悪者みたいに思われていることも知っている。

…仲いいだけなのに。

隠してるつもりで、会社の誰もが知ってる、上司と不倫中の先輩のことには目をつぶってるクセにな。

あたしは無実なのにな。

日ごろの不満を思いながら、たどり着く。

お気に入りの、その居酒屋に入ってく。

「あ、こんばんわ。待ってたんですよ」

よく見る店員さんに言われる。

ん?

柊くん?先回りしたのか?

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