綺麗なブルーを描けません
息抜きって言ったぞ。

何だ、息抜きって。

息抜きっていうのは、息が詰まりそうな環境に生きてる人が、その環境から束の間逃げ出すこと...ではないのか?

柊くんは、幸せなんじゃないの?

あれ?

誤魔化すように、そんなこと言わなかったみたいに、笑ってる。

自分の世界に踏み込んでくるなってことだ。

ズルいよな。

あたしのことはいっぱい知ってるくせに。

「柊くんが、今楽しいならいいよ」

柊くんが、頼んでくれた、新しいビールを飲む。

と、柊くんも、ビールのジョッキを持っている。

日本酒、空にしたらしい。

...本当に、息抜き、なんだな。

何か、そう思った。

柊くんは、いつもはお銚子一本で、ゆっくりしたペースの飲みで付き合ってくれる。

でも、今日はそんなつもりはないみたい。

...今日は、あたしが飲む量をセーブしとこうかな。

心の底で思った。

そういえば、会社帰りに、あたしが真っ白になってると、誘いやすそうな雰囲気で、柊くんが、そこにいたのだ。

そもそも...

今日の昼休みに、会社同士の近い、柚葉さんに、ご飯に誘われた。

あたしはとっても有頂天で出掛けて、お昼をごちそうになりながら、

今日のプロポーズのことを知らされてしまった。
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