綺麗なブルーを描けません
これが青天の霹靂って言うのか。すごいな、昔の人の表現力。

それに感心することで、何とか自分を保ってた。

そこから、午後のお仕事に突入して、帰る頃に、どっぷりと落ち込みが来て

その時に、さっさと帰らない柊くんが目に入った...というか、目についた。

やたらと、目についたのだ。

今思ったら、誘ってほしかったのかもしれない。

あのときは、あたしの異変に気付いてくれて、誘いやすいようにいてくれたのかとまで思ってたけど。

違ったな。

両方の理由なのかもしれないけど。

でも、ゆっくりと心の闇を聞き出せるほど、あたしは器用じゃない。

でもな、生きてるテンションをここまで引き上げてくてたのって、柊くんなんだよな。

あたしはずっと、もっともっと、低いレベルで生きてて...

柊くんを誘って飲めるような図々しさを身に付けられたのって、柊くんのお陰で。

だから、何かあるのなら、軽傷のうちに、助けてあげたい。

でも、でも、柊くんは賢いから、遠回しに訊くなんて、無駄なだけだし。

「ねえ...」

グラスをほとんど空けてる、柊くんの、手を止めさせる。

さあ、何て言おう。

すごく、考える。
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