綺麗なブルーを描けません
駅の近くで、柚葉さんに会えた。

大学生のころの1シーン、遠くの柚葉さんが振り返って微笑んだこと。

また、蘇る。

何だったんだろう。

たまたま振り返って、たまたま、真っすぐ見た先に、知り合いがいて、ニッコリして…

何の意味もなかったんだろうな。

それが、人の人生を、狂わせたなんて、知らないんだろうな。

あたしは、ブレスレットを見る。

「皮のアクセサリー、好き?」

その瞬間に訊かれて、驚く。

「…好きですよ」

多分。このブレスレットのせいだけど。愛着沸いて、かなり好きかも。

と、手を取られて、その掌に、何かを落とされる。

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