綺麗なブルーを描けません
そういう風を運んでいるのかもしれない。

風につられて振り返ると、さっきの人がいた。

柊くんのお兄さん。

あたしは、無意識に身構えて、柚葉さんの前に立った。

「…江間さん?江間、楓(カエデ)さん?」

今更だけど、あたしの名前は楓という。

言った、お兄さんは、微笑んでる。

「…そうですけど」

「凪(なぎ)のこと、助けたい?」

柊くんは柊凪という。

柊くんのことを、助けたいかって言っているのだ。

目も口も、綺麗に笑っているのに、どこから来るんだろう、この、禍々しいオーラ。

「助けないといけない状況じゃないと思うけど」

「そう。じゃあ、なおさらその目で確かめないと」

言って、住所が書かれた紙を突き付けられる。

「今、そこに向かってるよ。そこに雪がいるからね」

「雪って…」

奥さんだっけ。

雪奈さん…。

「そう、ですか。でも、あたしには関係なくないですか?」

お兄さんは、すこーし、眉根を寄せる。

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