センパイの嘘つき


「ちょっと朝から何事!?説明してよ!」


待ってましたとばかりに身を乗り出す咲を落ち着かせて、私は小さい声で告げる。


「…先輩と付き合うことになった」


目の前にいる咲は驚きで声も出ないらしい。失礼な。


「…男の人大丈夫になったの?」


真っ先に心配そうに聞いてくれる彼女は、やっぱり優しい。


「…全然。でも」


先輩なら。


近すぎたり、肌の接触が大きすぎると、多分ダメになってしまう。


でも少し触れるだけなら、先輩なら大丈夫。


自然と、そう思えている自分がいる。


変われるのかな、私。


無理だと諦めていたのに、少しだけ、光が見えた気がした。


なれるのかもしれない。私も、普通の女の子みたいに。

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