センパイの嘘つき


念のために持ってきておいた予備の上靴を履き、私は教室に行く。


「柚月!」


入るやいなや咲に引っ張られて廊下に連れ出されてしまった。


「…柚月、私に隠してることあるよね」


ないよ、と誤魔化そうと思ったけれど、咲の真剣な眼差しに、私は諦める。


「…実は」


私に起こっていること。それを全て咲に話した。


「最低!やることがゲスだよ、子供だよ!」


「…うん、ありがとう。咲」


だれかが怒ってくれるだけでこんなにもスッキリするなんて、知らなかった。


「犯人、誰かわかんないの?」


「んー、まあ先輩のファンってことは多分確実」

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