センパイの嘘つき


「そっか、それだけじゃわかんないもんね…」


「めちゃくちゃいるからね」


チャイムが鳴り、生徒たちが教室に入っていく。


「なんかあったらまた言ってね、隠し事なしだからね!」


「うん、ありがと」


ほんとに、ありがとう。


「このこと、柳先輩には…」


「言わないで、心配かけたくない」


不満そうな顔をする咲に、お願い、と重ねて言う。


…あの人が傷つくのは、もう見たくない。

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