センパイの嘘つき


「柚月ちゃん、俺に隠してることあるでしょ」


寒空の下、私はお弁当箱を開けていた手を止める。


「…なんでですか?」


バレた?でもどうして?


「だって、柚月ちゃん元気ない。なんかあった?体調悪いとか!?」


オロオロしだす先輩を見て、とりあえずホッとする。バレたわけではなさそうだ。


「なんにもないですよ、早く食べましょ」


「柚月ちゃんのお弁当はいつもおいしそー!」


「先輩またパンですか?」


「そ、俺好きなんだよね、購買のパン」


一口いる?


そう言って差し出されたカレーパン。実は、購買のパンは憧れだったりする。


私は思い切って一口かじる。


「っ!おいしっ…」


「でしょ」

< 107 / 181 >

この作品をシェア

pagetop