センパイの嘘つき
「柚月ちゃん、俺に隠してることあるでしょ」
寒空の下、私はお弁当箱を開けていた手を止める。
「…なんでですか?」
バレた?でもどうして?
「だって、柚月ちゃん元気ない。なんかあった?体調悪いとか!?」
オロオロしだす先輩を見て、とりあえずホッとする。バレたわけではなさそうだ。
「なんにもないですよ、早く食べましょ」
「柚月ちゃんのお弁当はいつもおいしそー!」
「先輩またパンですか?」
「そ、俺好きなんだよね、購買のパン」
一口いる?
そう言って差し出されたカレーパン。実は、購買のパンは憧れだったりする。
私は思い切って一口かじる。
「っ!おいしっ…」
「でしょ」